HOMELAND シーズン8~この世界の鮮やかな捕虜であり続ける~
*ネタバレ注意
ファイナルシーズンまで見終わりました。感無量です。本当に傑作でした。
この作品自体の事は前に記事を書いた事があり、その終着点として最高のものとなったと思います。
主人公のキャリーが愛したブロディと同じ立場で在り続ける、つまり転向にしたと見せかけ、裏切者という汚名を背負ってでも国に尽くすという彼女らしいものでした。
この選択に彼女の今までの諜報員としての人生が以下に詰まっています。
①(国内外の)敵から自国を守るために身を投げ出すほどの献身さがあること。
②なのに国及び組織の奴隷にならず自身の正義を貫ける強さがあること。
この①と②という、ともすれば相反するようなものが彼女の中で成り立っています。
なぜなら国の命令にいつも忠実であろうとする時に必ずしもそれが自身の正義と同一かといえば違うからなんですよね。
国が「やむえない犠牲」と政策や戦略のために個を犠牲にしていくことはどこでもよくあることですが、
だからといってそれに対してなかなか折り合いがつくものではないですし、そこに葛藤が生まれるのは当然の事です。
(これについては議論が必要なんですけど話からずれてくるんでちょっと脇におきます。)
えっとですね、それでそういう葛藤の中でブロディやクインは孤独に苦しんでいる人だったんですよね。
そしてキャリーはその葛藤を抱えてもなお、前に進める強さが非常に強い人でした。
もちろんブロディやクインも強い人達ですが、ものすごく「死」に近いところにいたというか、どこか破滅的な匂いがありました。
だからこそ彼ら二人はキャリーに惹かれたのでしょう。
というかその葛藤は自国だけではなく敵国の諜報員ももっているので、
皮肉にも彼らもまたそういうキャリーの強さに惹かれるんですよね。
そしてその強さとそれを支える能力を誰よりも信頼しているのがキャリーの師匠であるソールでした。
もちろんその信頼が揺らぐことはあっても絶対的な絆がそこにあります。
その絆は最初からあったというより、ここまで辿りついた。
彼女達のこれまで積み重ねが確かに昇華されたものだったと思います。
だからこその最終回ののラスト5分です。
なにより師匠であるソールすらその瞬間まで騙しきったキャリーは弟子として、
彼をここで超えました。
最後のシーンでキャリーが青白い光に包まれていくシーンがあるんですけど
あれですよね、ロシアの赤と対照的な青つまり祖国に心はあるという演出ですね。きっと。
それは本当にに心にくるものでした。
キャリーはこれからも国同士の残酷で冷たい戦いがある世界で、鮮やかに生きていくのでしょう。
確かな絆とともに孤独な戦いの中で独りではなく。
<余談>
キャリーは確かにヒーロー〈英雄〉なんですけどなんでそこまでするのか?
ってのは最後の最後までまでわかりませんでした。(笑)
下記の記事にあるようなローモデルになったり励まされたり憧れたり共感するようなヒーローではないんですよね。
ただただ圧倒されてく。
けどどっちも好きなヒーローです。