シェヘラザードの本棚

物語同士のつながりが好き

~だから私は推しました第7回~感情を分かち合いながらも、分かつという事

<あらすじ>
ハナの許容範囲を超える過去を知り、オタをやめた愛。
それ以来ハナはステージにも現れなくなり黒い噂は広がり炎上は広がってしまった。
日常に帰ったように見えた愛だが、そんな現状にたまらず小豆沢に連絡する。
そこから彼と椎葉と共に愛はは真相を確かめるべく動き出した。


<「ウケる」で始まるいじめについて>
前話の感想で「信じる・信じない」は置いといて、実際に「何が起こったのか」
を突き詰めて欲しいと言いましたが、その答え合わせが今話する事が出来ました。
事実を要点だけを書くと

ハナのクラスメイトの松田さんにインターナショナルの学校で彼氏が出来た。
松田さんのそんな様子に対してハナの友達グループの一人が気にくわない。
そしてハナは松田さんの彼氏を茶化したコラを作ってグループ内で共有した。
瞬く間にそのコラは学校中に拡散され、松田さんはリストカットするまで追い詰められてしまう。
そうなると次にハナがいじめのターゲットになった。

上記を見るとハナは加害者であり被害者でもあります。
愛に対して嘘もつきましたが本当の事も言ってました。
それにしても、このいじめの発生の仕方はとても腑に落ちる描写でした。
ハナ自身は松田さんをいじめてやろうとしてたわけではありません。
ただただ自分の身内グループの友達に「ウケる」と思ってやった軽い気持ちです。

 

このいじめのメカニズムは恐らく以下のようなものではないでしょうか?
誰かの気に障るAさんがいるとします。
そのAさんを馬鹿にするようななんとなく冗談が生まれてそれがウケました。
それによりAさんを嘲笑していい存在だという空気が作られ、その悪意なき悪意の空気が周りに波及していきます。
まるで水に落ちた一滴のインクのように。
(この「誰か」は政治力及び発言力がある者だとより強く周りを巻き込めていけます。)

 

この空気により追い詰めれた松田さん。
彼女がリストカットまでしたことが広がるとそれは
次のターゲットにハナを選びます。
「そこまで追い詰めた塚本さん(ハナ)ってひどくない?」と。
この空気自体には悪意という自覚がないというか
自分を悪意を認めることができない性質をもつがゆえにに、

個である誰かに「悪」をしょってもらおうとします。

 

そしてこのいじめのトリガーを引いたのは間違いなくハナ。
ハナに悪意はありませんでした。
きっとほんの些細な仲間内で「いいね」をもらえればそれで良かったのでしょう。
だけど…そうだとしても自分が投げたボールに傷つき、そしてそのボールがまた返ってきて彼女自身も傷つけました。
他者を踏み台にして手に入れた「いいね」が引き起こした行動の責任はどうあたってなくなる事はありません。

<そして愛さんは>
この事実を知って愛さんはハナちゃんに謝罪に行きました。

「私、ハナとおんなじとこいっぱいあるからわかるよ。」
「いいねって言われたら もっとそうしようと思っちゃうもんね。」

 

 

「ハナは責められて当たり前のこともあるともあると思う。」
「ハナのことを責めていい人ももちろんいると思う。」
「でも、それは…私じゃないよね。」
「私じゃない…のに…。」

 

前半部分ではハナへの共感。
そして後半部分は自分の分身のごとく共感しているハナに明確に一線を引いてるのがわかります。
ハナと松田さんとの関係でおこった出来事であり、そこに立ち入るべきではないと愛さんは自分を省みているんですよね。
彼女達の関係は果たして共依存なのか?と言われてきましたが
ここにきてバランスがとれるように。
限りない共感があると同時に「わたしとあなた」からちゃんと「わたし」と「あなた」という関係になりました。
松田さんに会いに行く事が間違っている事か聞くハナちゃんに愛さんは
「ごめん、わからない。」と生き方の主導権を相手にちゃんと任せています。

<本当に推して欲しいのは>
狂気をみせた瓜田。第二回の感想で

 

 

うーん。まだ瓜田の事はちゃんと理解したとは言い切れないんですけど 彼はどうも誰も推していないハナちゃんを推している自分に沼っているような気がします。 「この人には自分しかいないんだ。自分こそがこの人を支える唯一の人間なんだ」 というのはある種のしびれるような承認欲求を満たしてくれます。 しかも「自分だけが」というのがここではポイントで、そこには自分が選ばれたような、特別のような、そんな気持ちにさせられます。 相手を支えているつもりでも実は自分が本当はそれに支えられている。 これ自体はどこにでも誰にでもある感情で、第一話でも愛が取り調べ室で 「私自身が誰かに「推されたい」人間だったんです」 と言っています。 瓜田はハナから「いいね」が欲しいし「推されたい」。 その感情がコントロール不可になった時それは毒へと変化する。 そして例えそれが毒だとしても彼にとってその「いいね」はどうしても手放せない。

~だから私は推しました第2回~この人には自分がいなきゃだめだという甘美な毒となりえて - シェヘラザードの本棚

 

と書いてたんですけどここにきてもやっぱり瓜田自身がハナからの「いいね」が欲しかった人なんじゃないかなぁと。
西瓜というハンドルネームを使うとこみても。
自分がここにいることを気づいて欲しい、認めて欲しい、
だってこんなに自分は君を想っているというのに!という感情が彼の中で渦巻いている。

監禁部屋がほんとうかどうか愛さんの証言に信ぴょう性がまだないので
なんともいえないんですけど、あの卵のパックはそれだけの愛をハナに捧げている事の証明をしたいことのあらわれかなぁ、といまのとこ推測しています。
でも確かサニサイが広告塔になった卵パックって透明のプラスチックなんですよね。
あれは紙なのでうーん、あれは視聴者を騙すためのミスリードのシーンなのか
それとも瓜田の間違った愛し方という演出なのか迷うところです。


<君にさよならを>
twitterではちょっと書いてたんですけど小豆沢はやはり愛に気があるようです。
そこを花梨に見抜かれてました。
花梨と小豆沢のシーンはどうも私のつぼにはまってしまったというか。
面白かったですね。
花梨にとって小豆沢みたいなあしながおじさんというかメンター?プロデューサーみたいな存在。
そんな彼に対して彼女から「さよなら」をしているんですよね。
別に小豆沢は花梨に対して支配的であったりしたわけではありません。
自分の思い通りしようとする者からの解放という話というわけではないけれど
なんというか自立?のシーンのようにも見えるというか。
うーんなんだろうな。
そうそう、そして気になるのが、
これまで彼らの階段シーンは花梨が上にいて小豆沢が下にいました。
それが今話で同じ位置に座っているんですよね。
花梨を支える小豆沢という構図から明らかに変化したシーン。
この対等な位置が何を意味するのでしょうか?
彼らの関係は愛とハナとの関係性の別バーションでもあるようなそうではないような。
答えなき関係性はそのまま答えなのないまま終わりそうでもあります。