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物語同士のつながりが好き

~だから私は推しました第1回~君(私)に出会う物語

ついに始まりました!!
森下佳子さん脚本の「だから私は推しました」
期待していましたが期待以上のものをが第一話で見る事ができました。

さて、気になった点や面白かった点などをつらつら書いていこうと思います。

毎週…なるべく…。

<あらすじ>
リア充であるように見せかける事で自身の承認欲求を満たそうとするOLの愛。
週末は彼氏とデート、ジム通いをし、平日の夜には優雅な女子会に行ったりと、

一見順風満帆な彼女。
けどある日、結婚をしようかなと思っていた彼氏にフラれてしまいます。
失恋の悲しみもあるというのに、なんとそのうえスマホを落としてしまう愛。
運よく落とし主から連絡があり、呼ばれた場所がなんと地下アイドルの現場。
そこである運命的な出会いが彼女を待っていました。


<自分の「好き」より他人の「いいね」>
愛のインスタの中身は彼氏の恭介との写真ばかり。
友達や趣味の写真は私が確認した限りでは見当たりませんでした。
彼女は大手に勤めている彼と付き合う事を周りにアピールすることで、

「いいね」を貰おうとしていました。
自分の「好き」ではなく誰かに「いいね」と思われる事を第一としている愛。

価値観の基準軸にあるのが自分でなく他人。

 

「美人で仕事できても彼氏がいなければ、一番大きな「いいね」をもらえていない」

 と友人に対して心の中で思っていたところからすると、

彼氏がいる事が最も他人から認められる事だと思っている様子。

彼女はとにかく他人から承認される欲求に飢えていました。

 

しかしそんな愛に最大のしっぺ返しがやって来てしまいました。

恭介に

「俺 お前の「いいね」の道具じゃないから」

 

と言われフラれてしまいます。
恭介はもっともらしい事をを言っていますが個人的には後に続けて言った

「愛の事を奥さんだって人に紹介したくないんだよ。」

が本音だと思われます。
愛の友人によれば彼は会社のメインストリームから外されています。
おそらくただでさえ仕事で不安な状況なのに「自慢できない」女性と結婚したら
周りの同僚立から馬鹿にされると思ったのかもしれません。
彼はお前の「いいね」の道具じゃない!といいながらも
ちゃっかり自分も相手を自分を引き立ててくれる道具と見なしていたのです。
そう考えると随分酷いのですが、愛も彼を確かに「いいね」を道具にしていたのも事実。
同族嫌悪に近いものがありますね。
この「同族嫌悪」ですが後に愛が出会うアイドルのハナに向かって向けられていきます。

「一人だけダンスはできない。
 歌は下手だし実力ないのにしゃしゃり出て
 身の丈分かっていなくてマジ痛い!
 大体 何 その前髪 コミュ障か!」
 

と地下アイドルの現場でハナに向かって暴言を吐きます。

 

この暴言はハナに言っていますが本当は自分自身に向けられているものです。
友達のように仕事にまい進するわけでもなく、幸せアピールすることで
何かを満たそうとし、自分自身を大きく見せようとする必死な自分。
果たしてそんな本来の自分を隠して友人や恋人付き合っていた自分は
コミュニケーション強者だといえるのか?言えないでしょ!という。

この暴言を吐いた瞬間に彼女は等身大の自分を見つめざるをえなくなったのです。


<そして君(私)に出会った>
その後逃げるように地下現場から去って日常に戻ろうとした愛ですが
会社からの理不尽なクレームに対応することでハナに言ったことを
省みて謝りに行こうとします。
彼氏だった恭介は愛は性格に難があるといいますが
自分の非をちゃんと認めて謝罪しようとする彼女のねっこの部分には、善良さがあるのではないでしょうか。

 

 

地下現場にいくと前髪を切ったハナが遅れて入ってきてステージに立ちました。
ハナが言うには前髪をあると逃げてしまうてしまうので切ったとのこと。
歌やダンスはすぐに上達できなくとも前髪ならすぐ変えられるからと。

 

 

これは本当にに些細な変化で成長なんていえるものではないかもしれません。
だけど一歩でも前に進もうとした。
そんな僅かな一歩を愛は自分と似た少女の中に見つけてしまった。
憧れでも手に届かないものを見上げるでもなく、ハナのその変化に
心が震えて自分も前に進もうと愛は決意します。
ハナの所属するグループのキャッチフレーズに

 

「あなたの小さな太陽になりたい💛」

 

とありましたが

まさに愛は自分の太陽を見つけ、そしてその顔が明るく照らされているシーンが印象的でした。


<人格とその人が持つ物語の消費>
上記のシーンに思わず私も涙した一方で危うさもこのドラマの中で描かれていくかもしれません。
愛はハナの人格にシンパシーを覚えファンとなりました。
愛の場合はきっかけがあまりみない例だと思いますが、人格やその人の持つ物語に触れる機会は
写メ会、握手会、サイン会などを通して多くなりました。
その形がいつでも適切な距離と形でもってあらわれるかは分かりません。
もしかしたら

「推し」に自分達の理想の偶像を「押し付け」て、
いつのまにか望まない方に「推し」を「押している」かもしれない。
ここに、このドラマが突っ込んでいくかはまだ分かりませんが次回以降を待ってみようと思います。


<余談>
愛のおでこ出しているヘアスタイルと目が隠れるほどの前髪のハナと対比が象徴的ですが
取調室?にいる愛は重い前髪。
そこで愛はハナは自分の分身だというように本来の彼女が言葉だけではなく外面にもあらわれているようでした。

 


サニーサイドアップMV『おちゃのこサニサイ』~よるドラ「だから私は推しました」~