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物語同士のつながりが好き

~だから私は推しました第5回~そして延命するアイドル

<あらすじ>
アニサマも成功に終わり、無事に人気・知名度ともに上昇したサニサイ。
衣装もグレードアップして新規の仕事も増え順風満帆にみえます。
が、メンバー内部では色々と問題が起こったようで……。


<ファンという名の運営>
アイドル達の躍進と共に感じるのは寂しい気持ち。
近くにいて欲しい、だけど手の届かないほど遠くへいってほしい。
こういう二律背反を抱えながら応援するファンは多いのではないでしょうか。
椎葉さんも親元から娘が離れていくよう気持ちでしんみりしていました。
距離感が近い地下アイドルならなおさらです。

メンバー間のごたごたがおこった時に、アドバイスをしたのはとりわけ距離の近い愛と小豆沢でした。
本来ならハナちゃんのいうように運営が問題ごとに介入して解決するべきでした。
だけどほんとこの運営はそういう教育者やマネージャーとして欠落しているので
アイドル自身がファンにアドバイスを求めてきました。
繋がり自体どうなんだ?という問題はいったん脇に置くとしても、
これはですね、ほんとうはダメなんですよ。短期的にみたら解決したけれども結局のところ
運営自身の反省につながっていないので。
同じような事が繰り返された時に、なぁんとなくあの時解決したしな!というのりを組織が一回覚えてると
何も解決策を模索したり提示する努力を確実に怠るからです。

 

だから愛と小豆沢のアドバイスが親身かつ誠実であればあるほど運営のダメさ加減が浮き上がってきてしまうという。
いやー、ほんと小豆沢の花梨ちゃんへの真摯なアドバイスの美しさと比べてほんと……。

<アイドルのモチベーション>
組織であればいろんな人達がいるようにアイドル達の目標やモチベもいろいろ。
だから喧嘩だって起こります。
今回は凛怜と花梨が衝突しました。
この二人は実は共通点があってアイドルにすべてをかけているわけではなくて
第二の目標があります。
凛怜は女子アナ、花梨はソロ歌手。
けど花梨は歌って踊る事が夢へと直結していますが凛怜の場合は少しずれるんですよね。
もちろん人前に出て何かをするということでは共通してはいますが。
そこまでアイドルとしての能力向上に熱心でない。

花梨の場合今のここにある現場に全力でパフォ―マンスするという目的があり、
だからそこを軽んじている凛怜にいらつていしょうがない。
完璧にやってくれるなら文句もないけれども、自分の居場所を奪ってそれか?
という気持ちはあったのでしょう。

とはいえ舞台で喧嘩した二人は共にアイドルとしては失格だったでしょう。
夢やキラキラを見せるという点においてあれはただただファンを不安にさせる行動でした。


<凛怜はどんなアイドル?>
凜怜はアイサマを経て人気が上昇しました。
なんでなんだろう?と思ったのでちょっと考察してみたいと思います。
どうも凛怜の新規のファンは女性が多いみたいなんですよね。
グッズ展開を見ても。
これは多分、新曲がかっこいい系でクールビューティーの凛怜にうまくハマったんでしょうね。
そんな彼女の魅力に惹かれた女性ファンがついた可能性があります。
センターでメインボーカルの花梨も上手に表現していると個人的には思うんですけど
歌の「体現者」かつ「主人公」としては凛怜のほうがぴったりと感じた人が多かったのかもしれません。
彼女は自分をモチベもないしアイドル向きではないと思っていたかもしれませんが
だからこそクールな彼女がアイドル界を変えていくのでは?
と柿崎こと、かっきーは思っていたのかもしれません。

彼の論文のタイトルは

「アイドル界における凜怜の存在」~サニーサイドアップにおける意識高い系女子を中心に

とあり、凛怜がアイドル界を変えていく可能性を見出しています。

<こんな時だからこそ>
サニサイが少しステージが変わったことでメンバー達も揺らぎました。
上昇すれば安定を感じるかといえばそうではなく、むしろ足元が不安になる事もあります。
このままでいいのか?これ以上に上がって行けるのか?未来に不安を覚え前に進む事に怯える時もあります。
私達とは?サニサイとは?そこにはまだ確固たる自信は彼女達にありません。
こんな時だからこそファンの「推し」がアイドルには必要なのかもしれません。
ちゃんと見ているんだと、あなたは気付いてないかもしれないけれどあなたにはこんなにいい所あるんだと。
ファンにとってもサニサイが小さな太陽であるように、アイドルにとってもファンが小さな太陽であるようで
あればいいと思います。