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物語同士のコネクションを探して

少女の夢はもう見ない。だから、さよならを君に。~おんな城主直虎24話~

おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]

 

 直虎のヘッドハンティングを「がらじゃねぇ!」といって断った龍雲丸。
そんな井伊谷での小さな動きが起こっている中で、外交では今川氏真が武田家の「経済制裁」として「塩留」を行い、国力を取り戻さんとするために、「縁談政策」を推し進めてきました。
その一方、松平家康も織田信長から「武田と組むとか、ないよな?わかってるよな?!」という圧を受け、むしろ織田との縁談を強制的に持ち込まれました。

「縁談」というある意味では、新たな人との出会いといえる話の中に「別れ」というせつなくほろ苦い成分があったと言えます。
他にもいろいろ気になるポイントがあるんで、先にそちらから書いていきます。


<塩でもって敵を制す>
現代でも「塩」は生活必需品でありますが、当時の比ではないと想像します。調味料という面だけではなくだけではなく、冷蔵庫もない時代なので、食料を保存するための役割を担っていたのではないのでしょうか?
そのうえ武田は、海もない内地の国なので、それを止めれれてはたまったもんではなかったかと。
21話の感想で、脚本家の森下さんが戦国時代はプチ氷河期で作物が育たず、食糧難だったのでは?という事に触れましたが、もし武田がそのような状況ならだいぶ苦しい状況に置かれています。自給自足もままならないと、他国の物資や食料を奪ったほうが手っ取り早いと考える可能性があって、それが後々響いてくのかな?と。
あくまで私の個人的予測なのでなんともいえませんが。
そういえば、「塩」の話でちょうど北方謙三さん版の「水滸伝」を思い出しました。主人公達が国に反旗を翻すための資金源が「闇塩の売買」だったので。
それほど国家にとって塩の重要性が高かったんですね。直虎とは、時代も話も違うので同列には語れませんが、考えると面白い。
それにしても、この事態を「商機!」といわんばかりに目を光らせる方久さんの心意気はやはりかっこいい。
まさに「上に政策あれば、下に対策あり。」を実行していく彼は、市井の人の力強さを見せてくれています。

 

 <戦国の情報収集担当官>
今回は、様々な縁談の話がありました。戦国時代は国同士の外交手段として婚姻関係を結んでいます。
このブログやtwitterでも、武家の女性は外交官やインテリジェンス・オフィサーとしての役割を担っているよね、みたいな事を書きました。
瀬名姫と直虎も昔は、手紙を使って情報をやりとりしていましたし。
「両家の友好の懸け橋に。」と、表立ってはそうですが、要はまぁ「スパイ活動」の一面があって、そこはお互いわかってやっているというか。
というか、両方の「家」の立場にだんだんと立っていくので「二重スパイ」みたいになっていくのではないでしょうか?
どうかすると、寝返ったりすることもあるでしょう。
佑椿尼も、新野の家より、すっかり井伊家サイドの人間となってしまっています。
いや、「スパイ」って書くとマイナスなイメージに捉えられるかもしれませんが、それでバランスがとれて国同士が安定すればそれこそ上々です。

 

直虎も政策として桔梗の縁談を通し、北条家の動きを探ろうとしています。
ただ、国と国とのマクロの関係性に、極めてミクロな個人レベル結びつき(婚姻)に依存してます。
うまくいけば彼女たちはそこで任務を終えますが、情勢が不安定な時代や国が相手だと心配になるのもわかります。
でも、だからこそ相手の人柄や人間性が重要でしょう。
お互いに利害が絡む「国」を背負ってはいるが、彼なら・彼女なら信頼できる!と思える関係性を築く事は有事の際に役に立ちます。

 

「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー

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 <自由のための不自由な幸せ>
さて、尼であるため縁談とは無縁なんですが、龍雲丸のもつ「自由」に対して憧れのような事を口にしていました。
だいぶ、井伊谷で自由奔放に生きているかのように見えますが、組織に縛られるゆえの不自由さがあるのは確かです。
ただ、彼女の場合は自らの自由意志(井伊谷の人々を守りたい)で今の役割をまっとうしようとしています。
自分だけを守りたいなら、彼女自身がなんらかの技術を身につければいい。百姓達に、文字や護身術、薬草の知識を身につけさせるように。
だけど、そんな彼らを大きなマクロの波から守ってやりたいと願うなら、その「不自由さ(組織人であり、為政者である事)」は必要です。

個人の力だけではどうにもならない事も、彼女の「願い」に力が伴えば届きえる。
何より彼女は一人じゃない。手を伸ばせば支えてくれる人達がいる。直虎のその「願い」のために身を捧げてくれている。その意味では直虎は確かに「果報者」で。
そして、繰り返しますがその願いの発端は彼女の「自由」な意思です。


<さよならを抱きしめて人生は続く>
最後に、「別れ」についてやっと言及できます。
彼女は仕事になれてきたせいか、交渉事や戦略面で力を発揮してきました。
「女性」であることさえ、道具として使う事に躊躇がない彼女に南渓和尚は、「もう、おとわはいない。」
と寂しそうにつぶやいていました。
いまや彼女は「少女」であったおとわではなく、「領主」としての直虎です。
彼女のその「少女」の部分をずっと見てきたのは乳母である「たけ」でした。
例えおとわが出家しようと、後見の役職についてもいつでも、たけの中では「姫様」で。
だけど、その「姫様」のライフステージはあがってしまった。たけだけの「姫様」でなく、みんなの「直虎様」になった。
だから直虎のために、井伊のために「さよなら」をする。そのステージに自分の居場所はないとしても。
もうここは、見ていて胸がつまりました。
好きな人とずっと一緒にいたいという自分の正直な想いと、だけどその人がより輝くために次のステージに送り出す事をする事。

その行為は難しいゆえにすごく高貴な事に思えて。
自分はいつでもそれができるのだろか?と考えてしまいます。

おとわ姫に「さよなら」を送り、背中をおした「たけ」の余生が幸せでありますように。

そして、「さよなら」をもらった直虎が、これからどう生きていくか?

その「さよなら」をいつか意味のあるものとするために、彼女がそれを抱きしめながら歩いていく日々が、少しでも明るいものでありますように。

 

 

*あっ、政次さんについては、記事が長くなったので省略。というか来週やばそうなので、きっと、ぎゃぁぎゃぁいってます。でも一言だけ。

政治家として成長している直虎を嬉しそうにほほ笑む政次さんは100点満点だし、

二人で秘密の会話をしていて、方久が入ってきた途端、「仲悪いモード」に変わるの、控え目にいっても最高オブ最高でした。

なんなんだ!?あれ!?なんなんだ!?あれ!?(好きすぎて語彙力、行方不明)