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物語同士のつながりが好き

英雄去りし組織を率いるリーダー『Major Crimes~重大犯罪課』

MAJOR CRIMES ~重大犯罪課~ <ファースト・シーズン> コレクターズ・ボックス [DVD]

突然ですが私の好きなタイプをいいますと「理性的だけどその裏に負けないくらい情があって、だけどそれを理性でおさえて行動する。(たまに感情がこぼれるのはよし。むしろ可愛い)」
というのがあります。これは男女あんまり関係なくて、男性としても好きだし女性としても好きなんですよね。

 

そんなキャラクターが主人公になっている作品があります。
『Majyor Crimes~重大犯罪課』というアメリカのドラマです。重大犯罪課という名前がつく通り、主人公のシャロン・レイダーは、警部として働いています。
この作品はもともと『クローザー』という刑事ドラマのスピンオフとして誕生しました。

 

<変革型のリーダー>

シャロンについて語るまえに、この「クローザー」の主人公ブレンダ・リー・ジョンソンに触れなけれなばりません。

クローザー <ファースト・シーズン> コレクターズ・ボックス [DVD]

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 ブレンダは容疑者への尋問に関してのエキスパートであり、事件を終わらせる(close)事が出来る人です。

彼女は正義感が強いのはいいのですが、規則破りまくりで猪突猛進な破天荒な性格。
おそらく賛否両論がわかれるキャラクターだなぁと思います。
というのもこういう異分子な人物は悪い方向に行くと組織から排除され、良い方向に行くと組織そのものを変えていくことができるからです。
組織の「今」に安住を見出してる普通の人からみると邪魔でたまりません。
いわゆる周りの空気を読まずに、自分の信念が絶対だ!というある種の妄信じみた何かがないとできないんですよね。
が、これがはまるとめちゃくちゃ気持ちよく、組織に囚われず自由に動いている姿は爽快です。
物語の、世界を変える系の「英雄」型の主人公によく見られます。

 

 


彼女の「信念」というか思い込みが組織の他の人をどんどん巻き込んで変えていくというのは、「パッチ・アダムス」の主人公を思い出します。
「暖かい笑顔は世界に”伝染”するのです」というキャッチコピーがついていましたが、暖かさでというより、彼の持つ強い「信念」が他の人々に伝染していったというか巻き込まれた結果、事が動き出した印象を持ちました。
いや、このキャッチコピーが間違っているというわけでは、けしてないのですが。

 

パッチ・アダムス [DVD]

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<保守型のリーダー>

話を戻しますが、このブレンダに対抗する形で現れたのがシャロンです。

シャロンは内務調査員としてブレンダの前に登場しますが、性格は、真逆といっていいです。
ものすごくまじめで、冷静沈着、そして規律を守ることを重要視しています。
ブレンダのめちゃくちゃなやり方に慣れていると、風紀委員のごとく登場したシャロンがちょっとうっとうしく感じるんですよね。

 

 

そんなブレンダのアンチテーゼのごとく存在しているシャロンを主人公にしたドラマというのが面白い。

なにが面白いかというと、ブレンダは、ある意味、停滞した組織の空気を壊す存在として、ある種の「英雄」的な描かれかたをしています。
だからこそブレンダ個人にフォーカスがおかれた「クローザー(解決人)」というタイトルがつきます。
が、英雄が去り、組織が残されました。その組織に残された人達が英雄なしでやっていく物語が「Major Crimes~重大犯罪課」となります。

そんな組織をひっぱっていく存在がシャロンです。

型破りな親分肌な一代目から二代目に代替わりしたようなものです。

彼女はやっぱり最初は、反発をくらいますが、徐々に部下たちの信頼を勝ち取っていきます。

じゃあ、どうやって勝ち取っていくの?ってなったときに、目の前の事をほんとひたすらにこなしていくことしかないんですよね。

組織のルールにのっとった形でやるシャロンのやり方は、先代から比べると地味かもしれないけど、比べられる事をひがまず、組織の正義を信じているから、それに殉じている彼女の姿勢は心が打たれるものがあります。

 

 

 

では、彼女が規則に口うるさいだけの情のない人か?というと全然違います。

シャロンはある殺人事件の目撃者であるホームレスの少年、ラスティを自宅で保護してます。

このラスティが問題児で、あの手この手とシャロンの手を焼かすんですが、普通なら放り投げてしまいそうな反抗的な態度なんですよね。

彼はすごく頭がいいので、何を言えば相手が怒るのかを知って、あえてそんな言葉をシャロンにぶつけます。

そんな彼と、ゆっくり時間をかけて絆をもとうとする姿からは、けっして彼女が冷たい人間ではないというのがじわじわ伝わってきます。

むしろ情が深さが、理性の下に確かにあって、ここまでくるとこの人なんて可愛いんだろ!?ってなっちゃいます。

なのに普段はすごく冷静で、ラスティの事となると少しだけ感情的になるところはたまらないものがあるんですよね。

 

 

<変革型・保守型の後に>

ここまでくるとただの私の萌え語りになっていますが、組織を壊すタイプのリーダーのあとに、シャロンような組織のルールを守って前に進んでいくというリーダーをむかえ、その後はどうなるのか?というのも個人的には気になるところです。

うーん。おそらく、この二タイプのリーダーを繰り返しながら、バランスをとろうとする力学が働くとは思うのですが。

その辺も考えながら見ていきたいと思います。(だけど、ほぼシャロンラブで見てる。)