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物語同士のつながりが好き

ファーストペンギン!3話「じぶんが無知で偏見を持っているなんて思うのは難しい」

組合長の大人のいじめは水面下に潜りながらも続くよな回。

 

<経験がゆえに>

「若い」「おんな」「よそもん」な人間が何かをやり遂げようとする時に

「男が影にいるはずだ」という偏見。

組合長が確かに罠を仕組んだけれども、浜の人たちにそういった眼差しがなかったかといえば噓になる。

誰もがそういった偏見から自由かといえば、そうではないでしょう。

これは和佳という一人の人間への解像度が低さからおこったこと原因の一つと言えるでしょう。
けど自分がまさか世界や相手を知らないで傷つけているなんて思ってもいない。

むしろ年や経験を重ねているるからこそ、自分はものを知っていると思い込めてしまう傾向があります。

私も含めて。

 

<和佳の赦す事が出来る器量>

先輩もいなく無名の状態で新規開拓をたった一人でしなければならなかった和佳。
辛いこともあっただろうにそこでは、めげなかった。
むしろつらかったのは浜の仲間たちに信じて貰えなかった事。
私なら謝られても根に持ちそうなとこですが、そこはさっぱりした性格な和佳。
東京での仕事を理解した片岡達の謝罪から社長就任のお願いで許します。
こう書くとまるで和佳が社長の椅子と交換に許したかのように思われるかもしれんが、そうじゃなくてようするに「あなたを全面的に信頼して会社を任せます」という片岡達の決意表明であり、それを和佳は受けとったわけです。
「これからもその信頼に答えていく」という。

契約でありビジネスの話でもあるのです。

こうして組合長の嘘の噂を流して片岡達に和佳を追い出させる作戦は失敗に。

が、あの組合長がここでへこたれるとも思わないので、彼がどう動いていくか注目です。

ファーストペンギン!2話 「『ムラ』社会のペンギン」


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第二話目にして物語が大きく動きまたね。

とかいえ一難去ってまた一難。

和佳のファーストペンギン革命の道のりはまだまだ長いといったところ。

<ずっこけ、もとい浜の三人組>

さんし団三人組にも個性が見えてきました。
実は心に熱さを抱えてるがなかなか動けない片岡。
客観的に現実を見ている磯田。
その場ののりで動く山中。
大将、参謀、ムードメーカーといったところでしょうか。

<「ムラ」の支配者「ルーラー」>

旅館のおかみさん、女性漁師も片岡もなんとかしてやりたいとは思っています。
統括さん、組合長の腰巾着でさえ別に積極的に和佳を排除したいとは思ってはいません。
むしろ組合長さえ首を縦にふれば積極的に手助けしてくれるであろうことは想像にかたくありません。
けど組合長の支配した「ムラ」の中では彼の意向を無碍にはできない。
そんなシステムの中ではなかなか「正しさ」を通すのは難しいでしょう。

その「ムラ」の中で生きている以上排除されるリスクを背負うのはきびしいものがあります。

だれもが身に覚えがある事ではないでしょうか?
これは和佳が学生の時に体験したものと同じで、掌返しをされ味方をしてくれなかったクラスメイト達と本質は同じ。

学校は社会の縮図とはよく言ったものです。

はてさて、その支配者の空気が支配した中でルールを書き換えていくのか、新たにつくるのか?和佳の手腕が問われるのはここからでしょう。

まだまだ組合長はひいたとみせかけて虎視眈眈と和佳の排除をねらっていることですし。

 

 

ファーストペンギン!「和佳は既存の『和』を壊し、新たな『和』を創る」


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ついに始まった森下佳子氏のドラマ。

軽く感想をメモを。

最初の印象としてはよそもんが集団の「空気」や「システム」をえいや!と壊して新たな「システム」を創りあげていくお話かなと。

ヒロインが世の中と対峙して共に誰かと戦い、変えていこうとするところは

「おんな城主直虎」の流れをくんでいるように思います。

 

 

このドラマの主人公力は高い。(物語を機動させる力が強い。)

何が高いって行動力があるし、その上フットワークも軽い。度胸もある。

魚を直売するためにあれよあれよと許可どりするために農林水産省までたどり着く。

和佳のそういった性質は学生の頃から。

生まれつき茶色い髪のクラスメイトを黒髪に染めるよう命じた教師に、おかしいと抗議の声をあげるような主人公。

だけどこのこの時失敗に終わっています。

教師のかける圧に対抗できなかった。

しかし現代の和佳は「先生」とい存在がいるからでしょうか?

この時よりも一歩だけ前に進んでいる。

既存の権力にはまた違う権力を!

ということで、漁協に対して書類を集めて国と言う後ろ盾を引っ張て来ます。

 

とはいっても実際に強いのはまだまだ実際に生きる現地の人々。

彼らの利権や感情無視して物事を動かしていくには難しいところ。

(たとえそれが「昔からそうなっとる」という思考停止の産物だとしても)

杉浦組合長を含め、そこをいかに和佳が変えていくかが楽しみです。

 

そしておそらくビジネスパートナーになっていくであろう和佳に浜の立て直しを頼んだ片岡にも注目したい。

彼は浜が変わって欲しいと願いながらも、自分では動けずどこかそんな現状を変えてくれるヒーローを求めていたような人物。

かといっていざ救いの手が差し伸べられようとするとつかみきれずにいる。

それはなぜかといえば、和佳が絶対的かつ安定的な未来を約束してくれるわけではないから。

不満はあるが不確定の未来を手に入れるために「今」を手放してでも手に入れる価値が、和佳が示すものにあるか確信できない以上飛びこめない。

まだ片岡は和佳の手をつかむ、いいかえれば現状を壊し未来を創り出す覚悟ないし、共に戦う意思がかたまりきれないといえます。

ファーストペンギンになれない片岡。

確かに情けないですがとても人間らしいそんな片岡にとても共感してしまいます。

いつか和佳がそんな片岡含め周りの人たちも巻き込みながらもファーストペンギンズになっていけるのを見れたらいいなと思います。

blank13~弔いは誰がために~

blank13

「俺の家の話」の葬儀を見ていてなんか急にこの作品を見なきゃと思いたちました。
前から見なきゃいかんと思っていたんですけどを結果的に今見れて良かったと思います。
(「おちょやん」の父親について色々と考えていたので)

<story>
借金を残して13年間蒸発していた父親が余命3ヶ月で見つかった.
父の死後、葬儀で他人から聞く父の一面。
家族はそこに何を思うのか?


<火葬の火のように>
家族の中であえて話題にすることはなかったけど、各々の心に居続けてきただろう父親。
その父親の中にも自分という存在が息づいていたと知った時、
コウジは心の父親への嫌い・憎い・許せないだけでは埋められなかった空白が少し埋まったんだと思います。
えーっとですね、けして嫌いなどの負の感情が消えたわけじゃなくて
そんな感情の隣に父親が自身の心に居座る事を許してるんですよね。

彼は子供の時から父親に見て欲しかったけれど、自分の存在が父の中にいないのでは?
と思って人なので、父の中に自分という存在がいたと確信できた時点で、ある意味では救われてしまってるんですよね。
救われたというより昇華できた?
いや、昇華とまではいかなくとも煙のように昇っていってしまった。
静かに。
さながら火葬の火のように。
そんな彼に私は「許さなくていいよ。」や「許すなんて信じれない。」
という感情ではなくく
「あぁ。そっか…。そうなんだ…。」と背中をさすりたい気持ちになりました。

雨ニモマケズな生き方の表裏>
父親である雅人がどういう人だったかと考察すると彼はお人よしであるけれど
家族からは逃げた人であるとは思います。
ただ借金取りの
「ちょっとは人生かっこつけてもええんちゃうか?かっこいい背中を見せてもええんちゃうんか。」という言葉からは逃げることは出来ずに向き合い続けざるをえない人だったのだろうと。

なにが言いたいかと言うと、もともと「お人よし」であるのだけれど
家族から逃げ出したという罪悪感がそこプラスされより「いい人」であろうと
自分を削らざるをえなくなった感じがするんですよね。
逃げ出した分だけ恥ずかしくない生き方を、例えそれが家族に伝わらなくとも
「善である」生き方をしていこうとしてたのではないのかと。
その生き様はナルシシズムで身勝手で見えを張っているといえる。
だけどそんな彼に残されたものがそんな「お人よし」であるという「かっこつけ」
だったのでしょう。

<そして残された家族>
コウジの心が軽くなった一方で重さや苦みが残ったのは長男のヨシユキ。
雅人の妻である洋子は葬儀に参加せず煙草を吸う事で一人で弔いけじめをつけたように
みえなくもないんですけど、ヨシユキはこれからも折にふれて13年の空白を思い出して
歩き続けていく様が想像つく。
コウジが父との思い出に良くも悪くも浸っていた人ならば
ヨシユキは父親への憎しみをばねにここまでやってきた人なんですよね。
そして「父親が他人に良くしてたから何?家族を捨てた人だけど?」
と割り切れる性格でもなかった。
もしかしたら一生、彼の中で父の葬儀は終わることはないとしても
どうか彼の人生に光がさす日が一日でも多くありますように。

 


<余談>
借金取りの「かっこいい背中をみせてもいええんちゃうか?」
と言われた時に、うす暗い部屋の家族四人の食事風景の中で
父親の猫背に光が当たっていて、十字架を背負ったんだなぁと思いました。
このシーンは宗教画のような美しさに満ちたワンシーンでした。

昔話法廷 ~「桃太郎」裁判~差別の構造の中で

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有名な昔話である「桃太郎」。

その主人公である桃太郎が被告人として裁かれようとしています。

本来ならヒーローである桃太郎の新解釈が、裁判を通して描かれていました。

 

<鬼とは、人とは、何者なのか?>

まず、見ていて感じたのは鬼がこの社会におけるどういう立場にいる人達なんだろうか?

という事です。

 

彼らはどうも鬼ヶ島で隔離政策のようなものを受けています。

しかもその島は土地が痩せこけていて開発するものが難しく作物が取れない様子。

殺された鬼ノ助が鬼芋を開発してなんとかやっていこうとするところから見て

なんらかの支援があるようにも感じられません。

かといって鬼は人の村にやってこれるので、がっちがちな隔離ではなさそうな雰囲気です。

ちょっとこの辺の隔離が今はもう形骸化されたものなのかなんなのかはっきりしないところ。

しかしなんにせよ彼らが被差別層であることは明らかだと思います。

この鬼ヶ島から抜け出してに生きていく事が困難であり社会的立場で上を目指すことなんで夢のまた夢という状況が考えられます。

 

だいぶ私の妄想なんですがこの隔離政策の発案の少なくとも最初の理由としてはおそらく

「鬼ヶ島に鬼たちを住まわせることが彼らを守る事になるし人間達も守られる。両者にとって良い事なんだ。」という建前でやってそうだと感じました。

 

というのも弁護人の

 

「あなた方はいつもそうだ。」

 

という言い方からすると犯罪が頻繁に行われてることが考えられ、その犯罪抑止力としても隔離政策ではないか?と思われるからです。

もちろんその政策には穴があって、そもそも犯罪が起きる遠因は隔離によるものであり彼らに対する差別意識からきているものだと思われます。

国が差別を助長してどうするのよ…という感じであり、国民もまたその差別の無意識の沼に浸かっている空気が漂っている感があります。

 

ここまで書いといてなんですけど自分でもこの辺の理論がまとまってないです(汗)

 

  

そして人間サイドの鬼を見る眼差しは果たしてどうなっているのか?

桃太郎のおばぁさんを見てみましょう。

 

「鬼に怯えるこの国の人たちのために命を賭して戦おうって言ってるんですよ。」

襲撃予告を出したのが人間だったら桃太郎は退治したと思うか?

という問いに

「ほかの方法を考えたんじゃないの?」

「(鬼は)ほんと気味が悪い。」

「こいつらが鬼ヶ島で暮らしていたら桃太郎もこんな事をせずに済んだのに。」

 

 

びっくりするくらいナチュラルに差別意識をもってるおばぁさんです。

一番びっくりするのが「この国の人達のために」というセリフ。

国民の中に鬼が入ってないことが前提になっているんですよね。

そこに疑問すら持たない。

「今時ずいぶんな偏見。」と検察側から指摘されるほどに偏った見方をしているおばぁさんですがめちゃくちゃ過激派というわけではきっとないんですよね。

多分どこにでもいる。

自分にもそういう一面は必ずある。

それをつきつけられているようでした。

 

そして、描写がすくなくて判断つきにくいのですがおばぁさんの偏見がどこからきているものなのか?

という疑問というか想像の余地が残ります。

鬼と人間との軋轢を見てきたゆえの経験なのか?教育によるものなのか?

時代に影響を受けた物なのか?時代の影響を受けたとしたら果たしてどんな時代だったのか?

この辺は折に触れて考えていきたいと思います。

 

 

<桃太郎について>

桃太郎

「普通、桃から生れた子供なんて気味が悪いと思うんですよ。」

桃太郎は自分を育ててくれたおじいさんとおばぁさんに恩義を感じています。

愛情をもって彼を育てた事でしょう。

ですが鬼への偏見がそのまま我が子である桃太郎へ向かうと考えが及びついてなかった。

 

「気味が悪い。」

 

この言葉が完全に桃太郎へと跳ね返ってます。

桃から生れた「普通」ではない自分と鬼達になんの差異があるのか?

そう考えてもおかしくないからです。

その考えはsnsの中傷から始まり村への直接的な差別にはじまり、ますますどろどろした感情の沼にハマっていったことでしょう。

 

ただ、自分の感じる痛みを凶器に変えて鬼に向けてしまった事がいけなかった。

だけどその凶器を形作ったのは、おばぁさんも含めた社会全体の差別意識の構造そのものであり、それ自体にも責任はあります。

だから私はこの裁判に判決を下すのは難しい。

桃太郎自体はなんであれ罪を償う形になりますが、社会自体に裁きが下るわけではないので。

 

 

<余談>

検察官の桜井真美さんは死刑を求刑をしますが、犯人の動機をくみ取ったりしてだいぶ陪審員の心を同情側に引き寄せている感じがするんですよね。

彼女の正義がかなり気になる所です。

 

 

 

 

 

第十回 天国と地獄~サイコな二人~空に溶けた声を集めて聴き合う

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体調がちょっと崩れてたので二回で感想が止まってました。

消化しきれてない感想になってしまいますが最終回はやっぱり書いとこうと思います。

 

 

さて、すべての罪を被ろうとする日高と助けたい望月。

陸や警察内部を混乱させながらも果たしてこの二人の行きつく先とは?

 

日高陽斗という人>

日高は家族や仕事仲間を見ればわかるけどすごく慕われていて、コミュニケーションの能力が一見高いように見える人です。

そのうえ企業もしていて能力自体も凄く高い。

にもかかわらず一番救いたかった兄である朔夜の地獄を知りつつも朔夜の罪の告発者にも完璧な共犯者にもなりきれなかった悔恨を抱えていました。(アシストはしましたが)

 

朔夜の痛みを「もう一人の自分」のようにとらえており、自分の無力さを感じていたと思います。

兄の人生を奪ったのは自分なのだから仕方ないと思い込んで。

おそらく、人生で初めての挫折といえる出来事ではなかったのではないでしょうか。

 

罪の沼につかったまま、どうしようもなく兄の犯罪につき合っている中で起きたのが望月との入れ替わりでした。

 

自分達兄弟の罪を許さず罰してくれる存在。

日高は心のどこかでそれを待ち望んでいたように見えます。

裁いてくれる「神様」みたいな望月を彼を身を挺いて守り抜こうとします。

望月を助けたいという思いもあるし、自己犠牲的な良心を持つ彼らしい在り様の一部ですがそれだけじゃなくて、「死」という罰を受けたかったようにも私は見えます。

兄が死に、自分が生き残った罪悪感。

思い込みだけど兄の人生を奪っておきながら兄よりも軽い罰ですんでしまう自分への嫌悪感。

「もう一人の自分」を失う事にどうしようもない痛みを感じていたのではないでしょうか。

 

だけど彼にとっての「もう一人の自分」はもう一人います。

「あなたはわたし。わたしはあなた。」である彩子です。

自分の中にもありながらも、自分には出来なかった正義の在り方を体現した人。

だからこそ彼女を守るとこが自分を守るというセリフが出てくるのでしょう。

 

望月彩は許さない>

一方で日高の守り抜きたい望月はどんな人なのか。

彼女は日高と違い周りと軋轢を生みやすく厄介者として職場では扱われています。

だけどそれは空気を読まず自分の信念を貫く事ができる事の表れでもあります。

そして彼女は一線に踏みとどまれる強さを持った人間です。

 

しかしその、人としてのある「べき」線を守ってきた彩子は人格者だったでしょうか?

悩みはなかったでしょうか?絶対的な善良性を持った人間だったでしょうか?

違います。

彼女には認められたいという承認欲求や野心を人並みに持ち、自己保身もある。

そんなエゴや揺らぎの中でなんとか正義を通さんともがく「普通」の人でもあるのです。

望月のいう「べき」というのは世の中や現状の自分がそういう状態ではないからこそ発せられる言葉です。

だから彼女は「理想」を「べき」で語る。

 

そんな彼女が入れ替わることで他者が見る世界を体験していきました。

日高陽斗は自分よりも社会的には上手くやっていけてる人間。

そんな正反対に見える人の中に自分と同じように正義感があり、それを通せない苦しさを見つけてしまいます。

彼女にとっても日高は「あなたはわたし。わたしはあなた。」でもあるのです。

 

自分自身を大切に思うなら他者の中に自分と同質のものを見つけた時、その他者は自分自身と同等の大切さを持ちえます。

そんな「もう一人の自分」が望月自身の正義の在り方を理解せずして守ろうとし、死地に向かわんとする。

それを望月はどうしたって肯定できないし許すことは出来ません。

濡れ衣という理不尽さを見過ごさない望月の正義は日高の罪を被る在り方と対立します。

 

日高が望月を守りたいなら、その人の在り方を全力で助けるべきなのです。

だから望月は本当の事を言え!と日高に迫ったわけですね。

 

<声が聞こえなくともそこにある>

河原 

 立場の弱い人間がいかに容易く奪われ続けるか。

 そして立場の強い人間も最後はこういう風に

 自らが奪われる事にもなる。

 そんな事が言いたかったんじゃないのか?

 やってる事は人殺しだ。

 汚ねぇしゃがれた聞くにたえない声だ。

 でも、それでも…声は声だ。

 お前にその声を奪う正義はあるのか!?

 たかが女一人のために。

 朔夜は許されないことをしました。そこに怒りはありますが同時にいかに立場の弱い人間の声が届きにくい現状があるということを考えてしまいます。

もし声をあげたとしてもそれを聞き取る社会システムが現在、構築できているのでしょうか?

例え自分を気にかけてくれる個人がいないとしても、社会が自分の事をちゃんと気にかけてくれていると思えれば、それだけで生きていける事があるのではないでしょうか?

声がたとえ小さかったり、声に出さないとしてもそこには痛みがあります。

なかったことにはなりません。

そんな声をどうか聞き逃さないように、何度も考え続けていかなければいけない終わらない宿題を背負っているように感じました。

 

<余談>

陸はどうなったんでしょうね?スピンオフで欲しいところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二回 天国と地獄~サイコな2人~癖は消えない

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歩道橋の階段から転び落ちた事で心が入れ替わってしまった彩子と日高。

協力関係をやむなく結ぶことになった二人は未知の新生活を送る事になります。

彩子はあきらめるのか?日高の目的は?

果たしてどうなっていくのでしょうか?

入れ替わったあとの表記は以下の通り。

日高(彩子)

彩子(日高)

 

<殺人を明言しない>

彩子(日高)はなぜか自分が殺したとは、はっきり答えません。

 

日高(彩子)容疑を晴らすというのはやってない人の使う言葉よ。

彩子(日高)あーそういう意味ですか?

日高(彩子)やってないの?ひょっとして?

彩子(日高)とっとと選べ!!

 

 

から始まり

 

日高(彩子)どうして田所さん殺したの?

という問いにも動機を述べず

 

日高(彩子)それって犯罪を意識して生きてるってことよね?

彩子(日高)あまり長くなるのもよくないですので

 

 

と、はぐらかす。

 

とにかく彩子(日高)は犯罪の内容に触れられることを極端に嫌がっていますよね。

自分は裏切るような人とは信頼関係が築けない、と言っといて。

そしてせっかく自宅から間一髪でもってきてもらった証拠を捨てない。

コインロッカーに保存している。

 

日高が犯人ではない説もありますがここは一旦彼が犯人だと仮定して話をすると

証拠品の中にも気なるものが二つ。

おそらく殺人のターゲットのリストと「闇の清掃人Φ」と書かれた表紙の漫画らしきもの。

闇の清掃人という言い方からするともしかしたら快楽殺人というより彩子(日高)は必殺仕事人のような役割をしてるかもしれない。

(殺した時点でサイコだろ!!?というのはちょっとおいといて、意味合いとしてね)

 

ある意味では邪道でも結果を残そうとする河原と対比する可能性もありっちゃ、ありですね。

被害者が表の世界で裁けないような事をしているパターンが考えられるので。

 

しかし闇の「清掃人」という言い方からすればハウスクリーニングを生業にしている陸も気になるところ。

 

<入れ替わることで>

びっくりするくらい彩子(日高)は入れ替わりに慣れてるというか順応してますね。

仕事も化粧もセックスもなんの違和感もなく受け入れているというかノリノリでやっています。

一方で日高(彩子)は戸惑いまくり。

とはいえお互いの癖は元の持ち主のまま。

考え事をするときの耳たぶを触る癖と人差し指でとんとんと組んだ腕をたたく癖は変わりません。

身体にしみついてる癖というがこのドラマの中では魂の癖になってるですね。

身体が魂に引っ張られている。無意識に。魂の記憶というか。

魂が身体に閉じ込められているように見えるけれど一方では相互作用をもっていると言ってもいいかもしれません。

そしてその自分では気づかない癖というのは他者によって関知されるところが大きいんですね。

 

 

<余談>

入れ替わった事に気づいた八巻くん凄くないですか?

洞察力もさることながら、おかしいなと思っても発想をそこに飛ばせないし踏み込む事に躊躇するはず。

これもしも八巻くんが犯人とかだったらちょっとまじでへこむかもしれません。

 

<メモ>

日高の殺人のターゲット?リスト

田所仁志(死亡)

志知由美子

柳楽健一

戸塚豊

市川学

藤島悟

久米正彦

大山美里

四方忠良

宍戸直樹